母が教えてくれた、お茶の本当の意味

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(懐かしい写真です☺️)

先日のブログで、ZENLABと朱雀軒を母から受け継いだことを書きました。

あれからお稽古をしていると、ふと母の言葉を思い出すことがあります。

私がお茶を始めたばかりの頃のことです。

覚えることは山ほどありました。

道具の名前や扱い方、点前の手順、季節ごとの決まり事。

間違えないように、忘れないように。頭の中は、作法のことでいっぱいでした。

でも、そんな中でも母のお稽古場は、いつも和やかな空気に包まれていました。

生徒さん同士が笑い合い、お茶を楽しむ時間。

もちろん、教えるべきところはきちんと教える。

でも、それ以上に、「お茶って楽しい」と感じられる空間が、いつもそこにはありました。

そんなある日、母が私にこんなことを言いました。

「作法や手順、決まり事を守ることはもちろん大切。でも、一番大切なのは、お客様に美味しいお茶を点てて差し上げること。そして、くつろげる空間をつくること。」

その言葉を聞いたとき、「あぁ、そうなんだ」と、肩の力がすっと抜けたのを今でも覚えています。

それまでの私は、「間違えないように」「正しくできるように」と、作法や点前を覚えることばかりに気持ちが向いていました。

でも、母が見ていたのは、その先にいるお客様でした。

美味しいお茶を召し上がっていただくこと。

ほっとくつろいでいただくこと。

「来てよかった」と思っていただくこと。

作法や点前は、そのためにある。

そのことに気づいたとき、お茶の見え方が少し変わった気がしました。

母は、お客様のことを本当によく見ていました。

今日は少し疲れていらっしゃるのかな。

少し緊張されているのかな。

そんなことを自然に感じ取りながら、お茶を点てていました。

だから母のお茶は、ただ一服のお茶ではありませんでした。

その人、その時間、その瞬間のためだけに点てられた一服だったのです。

そして母は、お客様にもよくこう話していました。

「お客様も、その場を一緒につくる人なのよ。」

道具をご覧になって感じたことを話したり、「素敵ですね」と声をかけたり、分からないことがあれば尋ねたり。

亭主が心を込めて用意したものに目を向けてくださることが、何より嬉しいことなのだと教えてくれました。

今になって、母の言葉の意味が少しずつ分かるようになってきました。

お茶は、ただ作法を学ぶものではない。

目の前の人のことを思い、その人のために時間を整え、一服のお茶を点てること。

そこに茶道の本当の意味があるのだと、私は母から教わりました。

私が受け継いだのは、ZENLABや朱雀軒という名前だけではありません。

お客様を思う気持ち。

一服のお茶に心を込めること。

そして、目の前の人と丁寧に向き合うこと。

それこそが、母から受け継いだ一番大切なものなのだと思っています。

これからも、その教えを胸に、一服一服を大切に点てていきたいと思います。

そして、「来てよかった」と思っていただける時間を、一つひとつ積み重ねていけたら嬉しいです。