季節を彩る美:茶室で楽しむつばきの花

 寒さが身にしみる11月から、春の暖かな息吹を感じ始める4月まで、炉の季節がです。この時期、茶室を温かく照らすのは、日本の美しい自然から贈られた多種多様なつばきの花々です。

 つばきには驚くべきことに、2000種類もの品種があるんですよ。その中でも2月や3月にかけて、艶やかな卜伴つばきと真紅に輝く侘助が心を和ませてくれます。

                      ※卜伴つばき

 

                         ※侘助

 卜伴つばきは、濃い紅色の一重の花びらが特徴で、唐子咲きという形態が美しいんです。白いおしべがねじれて盛り上がる様子はまさに芸術品。一方の侘助は、控えめで可憐な美しさを持っています。名前通り、日本人の「侘び寂び」の精神を象徴する花なんですよ。


 茶室でつばきの花を眺めながら、一服のお茶を楽しむ時間はただの休憩ではありません。季節の変化を肌で感じ、内面を見つめ直す貴重な瞬間なんです。炉辺に咲くつばきの花が、静寂の中で美を放つように、私たちの心も日々の喧騒を離れて穏やかになるのです。この冬、ぜひ炉辺でつばきの花と共に、穏やかな時間を過ごしてみてください。日本の美意識と季節のうつろいを感じられる、特別な体験になることでしょう。