茶室に掲げられた一行「春入千林處々鶯」。
新春を迎え、心が改まる初釜の時期に、この一行が持つ趣には特別な意味が込められています。
春の訪れを祝うこの言葉は、茶の湯の世界では、新しい年の始まりと共に、自然の息吹と調和した心を育むことを象徴します。千林に響く鶯の声は、私たちに季節の移ろいを感じさせ、寒さの中に潜む春の兆しをそっと教えてくれる存在。その声は、静寂の中で聞こえる茶室の音と通じるものがあり、心に響く喜びを伝えます。
初釜では、このような掛物を通じて、茶の湯の精神が込められた「迎春の心」を表現します。客を迎える亭主の気持ちと、これから広がる一年の希望が、一行に託されているのです。
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茶室での「春入千林處々鶯」の楽しみ方
• 心で感じる春
寒中にも春の兆しを見つけようとする心を大切に。茶室に掛けられたこの言葉を通じて、自然の恵みや命の鼓動を想像してみてください。
• 道具との調和
掛物に合わせた春を感じるお茶碗や菓子器を選び、全体で物語をつくるのも初釜の醍醐味です。たとえば、鶯をモチーフにした菓子を用意するのも趣があります。
• 新年の誓い
「春入千林處々鶯」は、春の広がりを示唆する言葉でもあります。今年一年、茶の湯を通じてどんな心を広げ、どんな人と響き合うか、自分自身に問いかける機会にしてみてはいかがでしょうか。
初釜は新しい茶の湯の一年を始める大切な行事です。「春入千林處々鶯」という一行を掲げ、茶室で迎える新春のひとときを、心豊かにお楽しみください。